銀行

はじめてはいる未来の銀行は 明るくて清潔で静かだ 目の前に現れた大きなスクリーンには 運用や投資しかない 仕方なく その他を選んで タッチする どこからか  ただ今の時間はサービス時間外となっております という声がする どうしたらいいかわからず 辺りを見回す 誰もいないし なにもない 監視カメラに映る僕は さぞかし間抜けに見えていることだろう スクリーンにヘルプのボタンを見つけ おそるおそるタッチする どこからか響いてくる無機質な声が いろいろな質問をする それにひとつひとつ答える 20か30の答えのあとで 無機質な声が  申しわけありません 本人確認ができませんでした と言う どうしたらいいのかと尋ねたら  もう一度はじめからやり直してください という答えが返ってくる こんなことで 冷たいと感じたらいけない みんなが冷たいわけではないのだ 世の中には冷たい AI ばかりじゃなく 暖かい AI もいる だから もしかしたら次の問い合わせには 暖かい答えが返ってくるかもしれない マニュアル化して画一化した AI といえども なかには少し違う AI もいて 助けてくれるかもしれない 未来の社会では 生きづらいことも多いけれど そう捨てたものじゃないことも いっぱいある  かもしれない 効率化と自動化とが進み なにもかもがオンラインで 受付が無人受付システムになり 紙の預金通帳はデジタル通帳になったのは 遠い昔のこと 人は要らない 紙も要らない そして 客も要らない  カネのない客は客ではありません  当行は必要としておりません  当行がお客様に合う銀行なのか  もう一度お確かめください そういう未来の銀行に比べれば 今の銀行は夢みたいだ そう考えて今の銀行に行けば 感謝で満たされるに違いない って そんなわけないか